人材育成をめぐる動向と指導者に求められる視座
先日(2007/04/11)、内閣府より公表された機械受注統計は市場の予想を下回る前月比-5.2%であった。この機械受注とは、機械メーカーが企業や行政、海外から生産設備用の機械をどれだけ受注したのかを示す指標で、企業の半年から9ヶ月程度先の設備投資を示す指標とされている。この結果について、確かに思ったよりも下げたなと私は思ったが、ある程度下がることは予想していた。というのも、企業は新たな設備に資金を投下するよりも、雇用、そして人材育成に資金を投下する傾向にあることが実感として感じられていたからだ。どれだけすばらしい技術があっても、ITがどれだけ進展しも、それらを使いこなすのは人であり、また企業不祥事に対する最大の予防策は人の教育・育成に他ならない。また、医療や介護においてもそうだが、ある程度技術や能力に差が少ない良い意味で平準である現在において、他者との違い・差をつけるにはその人が持つ魅力であったり、顧客に合わせた臨機応変な対応であったりする。今回の機械受注統計からは、企業の今後の人材育成に向けた投資比重重きの傾向が見えた、そんな気がしている。ある中小の民間病院における看護師の人材育成の仕組みを構築、実践されている方と出会った。いわゆる大病院が人材育成や評価、クリニカルラダーなどの仕組みを公表し、注目を集めている。しかし、国内の病院のほとんどは民間であり、200床前後の中小病院であることから、いわゆる大学病院などの大病院と比較して、そもそも入職者のレベル、また復職者など様々な背景を持った人々など混在し、新入職時点でバラツキが多いのが実状である。そのため、従来の集合研修や経験年数に応じた集合教育では限界が生じる。そこで個人個人の力量を上げていく仕組みが必要であり、結果として「新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会報告書(平成16年)」を下敷きとしたその病院に求められるものを加味した標準教育の仕組みを作り上げ、中小の民間病院どこでも使えるようにしていくことで、患者さんがどこの病院で、どの看護師から看護を受けても「差」がないようにしていきたい、とその方は言っていた。日本の医療・看護の底上げには教育背景や経歴など多種多様な方が集う中小の民間病院の「質」を上げていくことこそが重要なのだ。そしてこうも言っていた、育てるということは自分自身の看護観と正面から向きあることでもある、と。看護観とはすなわちどんな看護をしたいのかを明確にして実践できること。管理・指導する側が自身の看護観しっかり持っていなければ、何も伝わらず育成にならないし、相手はおろか自分自身と向き合うことすらもできないことになる。
育てるということは、まさに自分を見つめることであり、またその育てる相手の指導を通して、自分自身を間接的に成長させることだとも言える。
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