病院・施設に求められる「CS経営」の発想
CS(顧客満足;Customer Satisfaction)を突き詰めていけばスタッフへの権限委譲の推進ということになる、とその病院関係者は言った。患者との接点で最善で迅速なサービスを提供する、そのためにはその場での判断・意思決定が必要になるわけで、何か問い合わせがある度に「私では分かりかねますので、担当者に伺って参ります」と応えていたのでは、時間だけが経過してその場での最善で迅速なサービスを提供できない。だからこそ、患者との出会いの瞬間であるその時に迅速な応えが大切であり、そのためにはマニュアルの整備も重要だが、瞬時の判断が求められる。権限を委譲するということは、その場での判断を委ねることで、経営・管理者はその判断を支援する後方支援に過ぎない、というわけだ。
このmedi_wel 通信局でもCSについては数回取り上げて紹介してきたが、いろんな病院・施設に伺ってみると、いまだにCS=接遇という考え方が多いことに気づく。接遇とは何か、改めて考えてみると、それはCSを実現するための「手段」の一つなのである。なのに、接遇の技術を修得することが目的となってしまっているところが多い。「患者様」という表現についても接遇と共通して言えることだが、あくまでも接遇や「患者様」という技術や表現はその病院・施設の「姿勢」だとか「宣言」といったものと考えるとよいだろう。だからといって接遇を学ぶことはない、というわけではない。基本は押さえておくのは当然であるし、あとはTPOに合わせた使い方を押さえておけばいい。よく言われることだが、病院や施設の応対のレベルを測るには道順・アクセス方法を尋ね、どういった返答があるかどうかである程度わかるものだ。接遇応対の一つのバロメーターになることだろう。
CSを考える上で大事なことは「患者さんを満足させるにはどうしたらいいか?」ではなく「患者さんが満足するにはどうしたらいいか?」という発想だ。声かけや接遇応対などマニュアルを用いた画一的な対応は質の保証となるが、期待以上の価値を生むことは出来ない。権限委譲の推進で患者さんと接点を持ったスタッフにその場・その時の意思決定を委ね、そして「創造的な」サービス提供が求められてくるわけだ。別に相手が患者さん・利用者さんに限ったことではない。地域連携時代の今では、連携先の病院・施設に対してもCSの発想が大事だ。
そんなことを考えながら病院の中を歩いていたら、車椅子に座った病院のスタッフがこちらへ向かってきた。CS委員会のメンバーだという。車椅子を利用する患者さんの目線、そして車椅子生活者の世界を体験し、車椅子を利用する患者さんが満足する何かを創造しようとしているのだろう。
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